プラーク(歯垢)とは

B!

プラーク(歯垢)という言葉を聞いたことがありますか?歯の表面に付着した細菌のかたまりのことを「プラーク」と言い、約600種類もの細菌がプラークの中に存在してます。

プラーク1mg当たり約1~2億個ほどの細菌が存在していると言われており、色は歯に馴染む白色、あるいは黄色を帯びた白色をしているため、目では確認しにくいのですが、舌で歯の表面を舐めて触るとザラザラとした感触があります。プラークは粘着性が強く、歯の表面にしっかりと付着してしまいます。強く口を濯いでもなかなか取れないのが特徴です。

プラークが付着するとどうなる?

プラークが付着して24時間経過すると、「グラム陽性球菌」と呼ばれる「ストレプトコッカス・ミュータンス菌」と「ストレプトコッカス・サングイス菌」が増加していきます。また2日から4日ほど経過するとプラークが厚くなり、「嫌気性菌」と呼ばれる、虫歯進行原因の「糸状菌」や「桿菌(かんきん)」が増加していきます。

さらに6日から10日ほど経つと、「グラム陰性嫌気性菌」と呼ばれる菌が増加します。これは歯周病を進行させる菌です。プラークが付着し、2週間以上経過すると唾液中のカルシウムが沈着し、石灰化が始まって歯石となります。増殖の過程で酸を出すために、歯を溶かすばかりか、歯茎にも侵入してさらに、歯槽膿漏や歯肉炎、歯周病などの症状を引き起こすことがあります。この他にも、プラークは口臭などの原因ともなるため、歯の表面がザラザラとした感触などの自覚症状がある場合は、早期の段階で歯科医の指示に従って、的確な治療を受けるた方が良いでしょう。

プラーク(歯垢)が付着する原因と予防法

プラークは食べ物の残りかすや、糖分などを栄養源として急速に増えていきます。歯の表面に唾液の中の糖タンパク成分が膜を作り、その膜に細菌が付着し、定着及び増殖することでプラークが形成され、どんどん成長していきます。

プラークが付着する原因は、お口の清掃が十分に行き届いてないことが多いです。お口の清掃が十分にされていない歯の表面に形成され、歯以外にも清掃が不十分であれば入れ歯や舌の表面などにも同様に付着します。そして時間が経過すればするほど、口の中でトラブルを起こす細菌が増えていきます。

プラークは記事の冒頭でも述べた通り、放置しておくと虫歯や歯周病、歯肉炎などのお口の中の様々なトラブルの原因になります。毎日のセルフケアを大切にしていただき、クリニックで定期的なクリーニングを受け、しっかりプラークを除去することが大切です。

まず今日からできるセルフケアとして、第一に「丁寧な歯磨き」を心がけましょう。磨きにくい歯と歯の間はデンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシという専用ブラシで磨くといいでしょう。そして「歯石」あるいは「歯周ポケットの中」などと言われる、セルフケアでは除去できない汚れは、クリニックでプロによるクリーニングを受け、除去した方がいいでしょう。

歯石とは?

この記事の中で何度か「歯石(しせき)」という言葉が出てきていますが、歯磨き剤のCMなどでよく耳にする「歯垢(しこう)」と「歯石(しせき)」という2つの言葉を同じものと混同している人が多くいらっしゃいます。

歯石とは歯の表面に沈着する灰白色、黒褐色の石灰化した物質です。

プラーク(歯垢)が長い間、歯に付着した状態でいると、唾液に含まれるカルシウムなどによって石灰化して石のようになります。これが「歯石」です。

歯石は、歯磨きがしにくい「歯と歯ぐきの境目」や「歯と歯の間」にできやすく、歯石は名前の通り、「石のように硬い」ため、一旦歯に付いてしまうと歯ブラシでは取れず、クリニックで取り除いてもらわなければなりません。また歯石の表面はデコボコしているため、そこにさらに歯垢が付着しやすくなる他、歯周病の原因となってしまうこともあります。

付着してしまった歯石はクリニックで除去してもらい、プラーク(歯垢)のうちに除去出来るよう日々のセルフケアを心掛けていきましょう。

毎日の歯磨きでプラーク(歯垢)を取り除くことは基本ですが、同じくらい重要となってくるのが、「定期的に歯石を除去」することです。歯石は痛みもなく、不快感もありません。それなのにどうして歯石を取らなければいけないのか?と思う方もいらっしゃるかと思います。

「歯石取り」はお口の健康を維持していく上で欠かせない大切なケアです。

歯石を自分で取り除こうと、ゴシゴシとハブラシで強く磨く人もいるようです。しかしこれはリスクを伴います。強い力を入れて磨いても、残念ながらハブラシで歯石は落とすことが出来ません。強い力で磨くことで健康な歯茎を傷付けてしまったり、歯の表面のエナメル質を削ったりしてしまう恐れがあります。

また歯石は、クリニックで「スケーラー」という先端が尖った器具で取り除いてもらうのが基本ですが、市販で販売しているスケーラーはあまりおすすめしません。最近ではネット通販などでスケーラーのような器具が販売されており、これを試す人もいるようです。しかし鏡を使っても見にくい口の中にスケーラーを入れて手探りで歯石を取ろうとすると、誤って歯の表面のエナメル質や歯茎を傷付けてしまう恐れがあります。

歯医者に行くのが面倒、あるいは費用を安く済ませたいからという気持ちもわかりますが、歯石を自分で除去をするのは、少なからず健康な歯茎や歯を傷付けてしまうリスクがあります。

歯石取りには技術が必要です。一般的にクリニックでは、歯石の量や場所などによって手動のスケーラーと、超音波の振動で歯石を破壊する超音波スケーラーを使い分けて効率的に歯石を取り除いています。歯石は、歯と歯茎の間の狭い隙間などに付着しているため、これを取り除くには専用の器具に加え、それを使いこなす技術が必要になります。

ご自分の歯を守るためにも、スケーラーを正しく操作する訓練を積んでいる歯科衛生士または歯科医師のいるクリニックへ行かれることをおすすめします。

最新の記事はこちらから