顎関節症になる原因と予防

食べ物を噛んだり、長い間しゃべったりすると、あごがだるく疲れやすく感じたことはありませんか?それは顎関節症かもしれません。あくびをしたり大きな口を開けると口の中で「カクン」と音がしたり、ものを噛むと耳の付け根や、こめかみが痛くなる症状が現れたら「顎関節症」を疑いましょう。

顎関節症患者は、20~30代の若い女性に多く見られ、ここ十数年で急増しているといわれています。軽症であれば自然に治るケースもありますが、放置しておくと重症化し、歯や舌の痛みが続いたり、めまいや耳鳴り、肩こり、さらには口が開けられずに食事が摂れなくなったりすることもあります。今回は顎関節症についてご説明したいと思います。

顎関節症とは

顎関節症のは、顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、「あごが痛い」「口を開けにくい」「顎を動かすと音がする」などの症状が現れる病気です。

およそ二人に一人は顎に何らかの症状を持つと言われており、病院で治療を受けている人はこの内の7~8%とされています。若い世代から中年女性の患者が多いのが特徴で、男性患者の2~4倍と言われています。女性患者が多い理由として、女性は顎の筋力が男性に比べ弱かったり、筋肉の血液循環が悪いといったことが考えられますが、それだけでなく、痛みを感じても耐えられてしまうために回復不可能な状態まで放置してしまい、後に病院を受診せざるを得ない状態になってしまうのではないかということが考えられます。

顎関節症の原因

顎関節症は、日常生活の中で無意識に行っている習慣が原因となっていることが多く、自覚症状が全くないという人でも顎関節症が潜んでいる可能性があります。あごを動かすと痛い、口が大きく開けられない、こめかみ周辺に痛みを感じたり、口を開閉したときにカクンと音がするという症状が特徴ですが、顎関節症になってしまう原因はなぜでしょうか。様々な原因が考えられますが、左右のどちらか決まった側で噛む習慣があったり、上下の噛み合わせの異常による場合が多いようです。

また精神的緊張やストレスがあご周辺の筋肉を緊張させ、噛み合わせが悪くなり、顎の関節に負担をかけるケースもあります。歯ぎしりも顎の関節に大きな負担をかけます。起床時や日中、気がつくと歯を食いしばっていたりすることは顎関節症を誘発します。さらに生まれつき関節に問題のある人や、関節に外傷を受けたことがあるかどうかなどが原因となることもあります。

顎関節症の原因は1つだけではなく、複数の原因が絡み合って症状が現れることが多いようです。

顎関節症の治療・予防法

顎関節症の発症や経過には生活習慣が深く関わっており、顎関節症を治すには、噛み合わせを改善させることが一番重要です。

例えば「スプリント」というマウスピースのようなものを装着し、上下の噛み合わせが均等になるように促すことで、顎の関節頭が正しい位置に戻り、筋肉の緊張が解れ、スムーズに動かせるようになります。また歯ぎしりや食いしばりによるダメージを軽減させます。

さらに必要があれば、入れ歯やかぶせ物などを入れたりする事で、噛み合わせを改善させるケースもあります。重症の場合は手術による治療を行うこともあります。顎関節症患者の多くは、無意識に歯をくいしばっているようです。また、食事のときに、左右どちらか決まった側で噛んでいる「偏咀嚼」をしていることも多くみられます。

歯ぎしり、くいしばりなどは、あごに大きな負担をかけてしまいます。これらは精神的なストレスが原因の一つであり、肩、首、顔の筋肉の過度の緊張、さらに睡眠障害を招いてしまいます。頬杖をつく癖があったり、偏咀嚼などの、あごに負担をかける生活習慣や、無意識に行っている癖を把握し、改善していくことが、治療において重要なだけでなく、顎関節症の予防に大きく繋がるでしょう。

セルフケアの基本は、あごを安静にすることと、負荷をかけないように心がけることです。日中、歯をくいしばっていることが多い人は、ときどき歯の裏側や口蓋部を舌でなめるようにしたり、ガムを前歯で噛んだり、舌で転がすようにすると効果的です。

また、温めたタオルで緊張の強い部分を温湿布した後に、人差し指・中指・薬指の3本を縦にして口に入れ、5秒間キープするなどのストレッチが大変効果的です。

顎関節症は1~2週間で治すことはむずかしいですが、セルフケアを継続すれば、だいたい数か月から半年でおよそ9割の人が治ります。歯の病気や歯並びを治療することも顎関節症を予防する方法ですが、日頃の生活習慣や癖を見直すことも非常に大切です。

歯科医院では、くいしばりや歯ぎしりなどの生活習慣の確認、歯の磨耗、噛み合わせの異常、顎関節の動きや雑音など、さまざまな検査を行います。顎関節症は大変身近な病気で、軽い症状であれば特別な治療をしなくても、自然に治まることも多いですが、慢性的な偏頭痛や耳・鼻・のど・唾液腺の病気、慢性関節リウマチといった病気でもあご周辺が痛むこともあり、親知らずの炎症や歯周病でも同じように痛むことがあります。

他の病気と区別するためにも、日常生活に支障をきたすような症状が現れたら、信頼のおける大分の歯科医院を受診されることをお勧めします。

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